競輪ステーションをご覧の皆様こんちには。
前回、前々回に続きイギリスでの経験談になります。 ロンドンにてエディ氏のトレーニングを受けた翌日は マンチェスターにあるベロドロ-ムに行きました。
ベロドロームは世界基準の自転車競技用のバンクのことで、 板張りで250mと日本の競輪のバンクに比べて少し小さくカントがきつくなっています。
競輪に参戦している短期登録選手(外国人選手)が普段走っているバンクで、 オリンピックで開催される自転車競技もこのベロドロームで行われています。
丁度この時期マンチェスターのベロドロームでは、 ナショナルトラックチャンピオンシップが開催されていたので、 それを観戦しに行きました。
世界中から一流の選手が集まり、熱いレースを繰り広げている様は、 同じ自転車競技選手として興奮しました。
またレース観戦だけではなく、 ブリティッシュサイクリングの会長や、ナショナルチームのヘッドコーチとお会いする機会がいただけ、 当日のレースについてや、日本の競輪に関してお話出来たことが 良い思い出となりました。
その翌日にはバーミンガムにて、 ワットバイクイギリスの責任者ジョン氏によって召集された ヨーロッパ各国のワットバイク責任者の方々と、 ワットバイク創業者のイアン・ウィルソン氏を交え 会談する機会を設けていただきました。
今回のブログの一番最初でも簡単に説明させていただきましたが、
ワットバイクは英国自転車連盟が公認したマシンで、 老若男女問わず利用出来ることから、ヨーロッパでは絶大な支持を得ていて、そしてその性能の高さから、世界中でトップアスリートの発掘や育成に活用されています。
この高性能マシンに携わる各国の責任者の方々は情熱溢れる方ばかりで 彼らから各国の自転車競技に対する現状や環境について色々教わることが出来ました。
また彼らからは日本の競輪について色々な質問を受けました。
なぜ日本の競輪選手は世界戦に出場しないのか。
日本の競輪ビジネスの仕組みはどのようになっているのかか。
なぜ高知でのレースは失格になったのか。
日本の競輪の情報は海外ではなかなか入手しづらいようで たくさんの質問を投げかけられました。
皆さん日本の競輪選手のことを本当に良くご存じでしたし、 自転車に対する熱い気持ちを感じられたことが嬉しかったです。
彼らの質問は日本にいると気付きにくいものばかりでしたが、 彼らからしてみれば、 一流と呼ばれる選手が世界戦に出場しないことは不思議なのかもしれません。
競輪選手はG1に勝つことを目標に、毎日を積み上げていっていますが、 その延長戦上にオリンピックは存在しません。
世界戦はバンク距離もルールもレースの特性も違い、 出場するとなるとそれに向けての練習が必要になってしまうからです。
毎年レースに出場しながらオリンピックを目指すことはそれだけ困難なことになります。
本来であれば国を代表する選手として、 世界で闘える選手を輩出していくことが良いのかもしれませんが、 それを実現させる環境が整っていないのです。
時間をかけてでもしっかりと組織作りをしない限り 今の日本の競輪選手が世界で闘うことは厳しいと思います。
それだけ選手育成の環境作りには雲泥の差があるのだと痛感させられました。
その他にも色々と考えさせられたり、感銘を受けた内容は多々ありましたが、その中でも特に自分の心境を変えることになったのはベイッコ氏から言われた
「若い世代にメッセージを送りなさい。」
の一言でした。
彼は経験を積んだ人間の有益な情報を必要としている人はたくさんいて、 若い人の可能性を伸ばしていくためにもそれを伝えていくべきだと言います。
イギリスにいる間、ジョン氏と共に常に同行してくれていて、 様々なアドバイスや競輪に対しての熱い会話をしていく中で ベイッコ氏に対し尊敬を念を抱いていましたし、 人材育成の環境が整っているヨーロッパの組織形態を目の当たりにしていたこともあり、 この言葉を受け、考えを改めさせられたと同時に これからの日本の競輪や自転車競技のために自分に出来ることが少しわかった気がします。
これまでもトップクラスの選手として活躍してきた実績や、 レースに対する心構えやトレーニング方法などを、 自分の後輩には出来るだけ経験談を話すようにはしていましたが、 その他にも自分のメッセージを必要としてくれる人がいるのなら それを伝えていくことが自分の役割なのかもしれません。
もちろんまだしばらくは現役選手として 自分を第一にして頑張っていくつもりですが、 これからはもっと視野を広げることも考えて行きたいと思うようになりました。
今回のイギリス渡航は期間にすると本当に短いものでしたが、 選手としての自分と、これからの自分の人生にとって 大きなターニングポイントとなる数日間だったと感じています。
今回出会った方々と友好関係を結べたことが貴重な経験であり、 特にトレーニングメニューの作成と、今後のフォローをしてくれることになったエディ氏と、 自分を見つめ直す機会をくれて親友にもなれたベイッコ氏、 そして何よりもイギリス行きを実現させてくれて、常に通訳をして下さった ワットバイクジャパンの大木氏に心より感謝します。
今回は3回に渡りイギリス渡航の内容をご報告させていただきましたが、 完結に率直な気持ちをまとめた内容をまた近日中に更新させていただきます。
また、イギリス渡航とは直接関係ありませんが、 明日、関東の地区プロに参加してきます。
久しぶりの実戦で、間隔がだいぶ空いてしまっていますが、 レースの感覚を取り戻しつつ一生懸命走りたいと思います。。
それでは今後もよろしくお願い致します。
マンチェスターベロドローム 
左からベイッコ氏、大木氏、ブリティッシュサイリング会長イアン・ドレイク氏、ジョン氏 
ワットバイク創業者イアン・ウィルソン氏と
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